JIS・WES溶接技能者資格について【概要】
溶接技能者資格の種類
1.溶接技能者資格には対象材料と溶接方法によって区分された次の資格があります。
下表の色は、申込書の色調です。
資格の種別 |
対象材料 |
溶接方法 |
適 用 し て い る 規 格 |
資格の適用事例 |
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手溶接 |
アーク溶接 |
炭素鋼 |
被覆アーク溶接 |
JIS Z 3801 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準 |
一般構造物の手溶接及び溶接技能者の基本的な資格として適用 |
テイグ溶接 |
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被覆アークとテイグ溶接との組合せ |
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ガス溶接 |
炭素鋼 |
ガス溶接 |
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半自動溶接 |
炭素鋼 |
マグ溶接 |
JIS Z 3841 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 |
一般構造物の半自動溶接に適用 |
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テイグとマグ溶接との組合せ |
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セルフシールド溶接 |
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ステンレス鋼 溶接 |
ステンレス鋼 |
被覆アーク溶接 |
JIS Z 3821 ステンレス鋼溶接技術検定における試験方法及び判定基準 |
ステンレス鋼の溶接に適用 |
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テイグ溶接 |
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被覆アークとテイグ溶接との組合せ |
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ミグ又はマグ溶接 |
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チタン溶接 |
チタン チタン合金 |
テイグ溶接 |
JIS Z 3805 チタン溶接技術検定における試験方法及び判定基準 |
チタンの溶接に 適用 |
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ミグ溶接 |
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プラスチック 溶接 |
塩化ビニール ポリエチレン ポリプロピレン |
ホットジェット溶接 |
JIS Z 3831 プラスチック溶接技術検定における試験方法及び判定基準 |
プラスチックの溶接に適用 |
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銀ろう付 |
ステンレス鋼 炭素鋼 銅 |
トーチろう付 |
JIS Z 3891 銀ろう付技術検定における試験方法及び判定基準 |
ろう付作業に 適用 |
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すみ肉溶接 |
炭素鋼 |
被覆アーク溶接 |
WES 8101 すみ肉溶接技能者の資格認証基準 |
すみ肉溶接に 適用 |
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マグ溶接 |
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基礎杭溶接 |
炭素鋼管 |
被覆アーク溶接 |
WES 8106 基礎杭溶接技能者の資格認証基準 |
基礎杭の溶接に適用 |
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マグ溶接 |
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セルフシールドアーク溶接 |
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石油工業溶接士 |
高張力鋼 耐熱鋼 ステンレス鋼 |
被覆アーク溶接 |
WES 8102 溶接士技量検定基準(石油工業関係) |
石油工業関係装置,機器 |
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テイグ溶接 |
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被覆アークとテイグ溶接との組合せ |
- 手溶接資格とは溶接操作を手で行う溶接で、炭素鋼を対象に溶接棒を使用する被覆アーク溶接、ティグ溶接、ガス溶接他が有ります。
- 半自動溶接資格とはワイヤの送給が自動化された溶接で、炭素鋼を対象にマグ溶接(MAG)、セルフシールドアーク溶接、ステンレス鋼、高合金、非鉄金属に利用されているミグ溶接(MIG)等があります。
- 対象材料「軟鋼(炭素鋼)、ステンレス鋼、チタン及びプラスチック」毎の溶接資格があります。
- その他の資格には銀ろう付、すみ肉溶接、基礎杭溶接、石油工業溶接士があります。
- 評価試験申込書の色調として緑・茶・青・グレー・ピンク等が有り、申込書が区別されています。
- 詳細は「日本溶接協会HP」を参照ください。
2.資格の記号【手、半自動及びステンレス溶接資格の例】 : その他の資格種別記号は日本溶接協会HP 「溶接技能者資格について」をご覧下さい。
受験種目と記号
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①溶接方法 |
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②板厚の区分 |
③溶接の姿勢 |
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基本級 |
専門級 |
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手溶接 (炭素鋼) |
N(裏当て無) |
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1:薄板(管) |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向) P(固定管) |
A(裏当て有) |
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2:中板(管) 3:厚板(管) |
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T(Tig) |
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薄板(管) |
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C(初層Tig) |
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半自動溶接 (炭素鋼) |
SN(裏当て無) |
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1:薄板(管) |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向) P(固定管) |
SA(裏当て有) |
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2:中板(管) 3:厚板(管) |
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SC(初層Tig) |
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SS(セルフシールド) |
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ステンレス鋼溶接 |
CN(被覆、裏当て無) |
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薄板(管) |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向) P(固定管) |
CA(被覆、裏当て有) |
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薄板 |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向)
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TN(全層Tig) |
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薄板(管) |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向) P(固定管) |
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MA(Mig/Mag、裏当て有) |
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中板 |
F(下向) |
V(立向) H(横向) O(上向)
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MN(Mig/Mag、裏当て無) |
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F(下向) |
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MN(初層TIG、Mig/Mag、) |
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中板(管)
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FM(下向) |
VM(立向) HM(横向) OM(上向) PM(固定管) |
3.資格の記号の意味
資格の記号はJIS・WESで定められています。基本級と専門級があり、基本級(F)が無いと専門級は取得出来ません。
(1) 記号の列は N-1F のように2つの項目を ー で結んで表しています。
(2) 第1の項目は主に溶接法、対象材料、裏当て(有り・無し)を示し、第2の項目は板厚、溶接姿勢、パイプ溶接等を示します。
<第1項目の記号の意味>
N=裏当てなし A=裏当てあり T=TIG溶接(裏当てなし) C=炭素鋼では組合せ(コンビネーション)、 ステンレス鋼では、被覆溶接棒(コアードフラックスロッド)を表す。
G=ガス溶接 S=半自動溶接 SS=ノンガス(セルフシールド)半自動溶接(裏当てあり) M = MIG溶接 TN =ステンレス鋼TIG溶接 R=チタン溶接 PVC,PP,PE = プラスチック FA,PA = 銀ろう付 Fil=すみ肉溶接 FP=基礎杭溶接 E,F,FT,FC=石油工業溶接士
<第2項目の記号の意味>
板厚の記号:1=3.2mm 2=9mm 3= 19mm
姿勢の記号: F(Flat) =下向、V(Vertical) = 立向、H( Horizontal)=横向、O(Over) =上向、 P(Pipe)=パイプ全姿勢
4.受験資格
- 基本級=1ヵ月以上溶接技術を習得した15歳以上の者
- 専門級=3ヵ月以上溶接技術を習得した15歳以上の者で、各専門級に対応する基本級の資格を所 有する者
- 銀ろう付、すみ肉溶接、石油工業溶接士、PC工法溶接、基礎杭溶接資格については各適用規格を参照願います。
5.評価試験の内容
評価試験は、学科と実技の試験があり両方とも合格して適格性証明書が交付されます。学科試験は過去に資格取得をしていたことを証明できるカラーコピーの添付により免除されます。
1.学科試験の評価基準 設問数20 4問1択 正解60%以上で合格
(溶接の一般知識、溶接機の機構と操作、材料、溶接施工、試験検査他)。
① 受験する場合の受験種目に対応した参考書「産報出版」
・JIS Z 3801 新版JIS手溶接受験の手引
・JIS Z 3841 新版JIS半自動溶接受験の手引
・JIS Z 3821 新版JISステンレス鋼溶接受験の手引
・JIS Z 3891 新版JIS銀ろう付受験の手引
・JIS Z 3831 新版JISプラスチック溶接受験の手引
・JIS Z 3805 新版JISチタン溶接受験の手引
② 試験の言語は、原則日本語で行いますが、外国語もありますので、希望する場合は問合せ下さい。
2. 実技試験の評価基準 JIS・WES等適用規格にもとづいて行い、外観試験及び曲げ試験により評価します。
① 外観試験検査
溶接部の表、裏面の出来栄え、欠陥等を評価する。
② 曲げ試験(表、裏面)
曲げられた試験片の表面にあらわれた欠陥の大きさ、量を評価する。
6.その他
詳細を知りたい方は、一般社団法人 日本溶接協会のホームページ「溶接技能者資格について」をご覧下さい。